コロナ禍でここ最近のワイン会は私(岡田)が銀座、新店両方の全てのワイン会を企画・開催させて頂いているため、店内でのワイン会に加えて、ネットワイン会もと立て込んでいて、その様子をBlogにアップできずにおりました。大変失礼いたしました。
本日は、たまっておりましたが、最近の当店でのワイン会の様子をアップさせて頂こうと思います。
8月29日(土)の土曜ランチワイン会は、
第104回 「風光明媚なシュタイヤーマルク州と、首都ウィーンのワイン造り」というテーマで、
オーストリアの中でその街の雰囲気が最も対照的かと思われる2地域を取り上げました。
風光明媚で牧歌的な雰囲気漂うシュタイヤーマルク州と、先端の首都であり、かつ、ワインの銘醸地であるウィーン。この2地域の魅力に迫りました。
当日は下記のワインをお出しいたしました。
写真左より、
- Hajszan Neumann Ried Weisleiten Gemischter Satz DAC 2018 Wien
- Zahel Demeter-Bio Wiener Gemischter Satz DAC 2018 Wien
- Franz Strohmeier Schilcher 2018 Steiermark, Weststeiermark
- Sattlerhof Eichberg Muskateller 2018 Steiermark, Südsteiermark
首都でワイン造りをしているところは世界的にも珍しく、その中でも銘醸地となっているのはウィーンぐらいかと思います。
そのウィーンからは「ゲミシュター・サッツ(混植混醸)」をお出ししました。
「ウィーンのワインといえば・・・」と言われるくらい、ゲミシュター・サッツは代表格で、一つの畑にランダムにいろいろな種類の品種が植わっており、それをまとめて収穫し、まとめて醸造したワインです。
ゲミシュター・サッツと聞くとホイリゲの安ワインとイメージされる方もいらっしゃるかもしれませんが、さにあらず。現在、海外に輸出されているゲミシュター・サッツはウィーンのテロワールを表現した素晴らしいワインで、その評価も非常に高いものです。
ゲミシュター・サッツを復興させた中興の祖の一人がフリッツ・ヴィーニンガーさん(Weingut Wieninger)という造り手さんで、
もちろん、Wieningerブランドのワインは言ううことなくトップのワインの一つですが、今回はヴィーニンガーさんが最近手に入れた隣の造り手のハイサン・ノイマン(Hajszan Neumann)をお出ししました。畑のミネラル感と高い酸と果実味が綺麗で大変美しいワインです。
さらに、ウィーンの中でもハイサン・ノイマンとはすこし場所が異なるマウアーというところにワイナリーを構えるツァーヘル(Zahel)もお出ししました。
ツァーヘルの作る、このWiener Gemischter Satz DACはビオディナミで造られ、その認証団体のデメター(Demeter)から認証を得ています。
口に広がる華やかなミネラル、そして、白い花のほかに豊かな柑橘の風味も合わさり、全体的に柔らかいワインです。
同じウィーンでもその風味の違いを実感して頂けたご様子でした。
また、シュタイヤーマルク州からは、シルヒャーと地場品種ゲルバー・ムスカテラーのワインをお出ししました。
シュトローマイヤー(Franz Strohmeier)は、私も以前(2014年)に訪問して感銘を受けたワイナリーの一つです。
雨が多く温度も高いシュタイヤーマルクは、ぶどうに害虫が付きやすく、また、病気にもなりやすい土地です。
その中で施肥や農薬をまかずに栽培していくことは非常に難しく、リスクも伴うのですが、まったく人為的なことをせずに自然派で作るシュトローマイヤーのワイン委はぶどう本来の味わいが凝縮されています。
ヴェストシュタイヤーマルク(西シュタイヤーマルク)を代表するロゼワインのシルヒャーは、この地を代表する赤の地場品種ブラウワー・ヴィルトバッハーを使っています。
この品種は果皮が厚く、酸味も高いため、赤ワインにすると酸っぱくて渋いワインになりがちです(私はまだ渋すぎるものには出会ったことがないですが)。
そこで、この品種を美味しく飲むためにと開発されたのがシルヒャーのロゼです。
さらに、それを泡で仕立てたものがシルヒャー・フリザンテで、今回お出ししたのはこちらのタイプです。
シュトローマイヤーに訪問した時、「僕のワインはシルヒャーと呼んでくれなくていい、シュトローマイヤーのワインだ」と話を聞き、その栽培、醸造の哲学に確固たるプライドを持って取り組まれている姿勢を感じました。
他のシルヒャーと比べてもその圧倒的な液体の味の厚み、深さはずば抜けていると感じます。
特に、出汁や素材のうま味を重視する和食とは相性が良く、この日も江戸前鮓と最高の相性を見せてくれました。
そして、ズュートシュタイヤーマルク(南シュタイヤーマルク)からは地場品種のゲルバー・ムスカテラーをお出ししました。
造り手のサットラーホーフ(Sattlerhof)さんはこの地区を代表する造り手の一人で、その地区のテロワールを表現し、代表するワインの造り手だと加盟するメンバーが認めた人だけで組織するプレミアムエステート」という団体を組織し、自分のワインのみならず、各地を代表する造り手と一緒に活動をしています。
このゲルバー・ムスカテラーはマスカットの原種の一つともいわれ、香りはシャインマスカットのような香しい香りですが、飲むと酸が高くすっきりとしたドライで、そのギャップにとても驚くワインです。
このワインは山葵(わさび)との相性が抜群で、淡白な白身に山葵をきかせたものと唯一無二のペアリングでした。
0コメント