10月の土曜ランチワイン会の様子

昨日、10月17日(土)の土曜ランチワイン会は、

第106回「高橋葡萄園(岩手県花巻市)と季節の江戸前鮓のマリアージュ」というテーマで、岩手県花巻市のワイナリー「高橋葡萄園」の高橋喜和さんと一緒に開催しました。

毎年好評のこのワイン会は、昨年まで高橋さんにご来店いただき、直接解説していただく会とさせて頂いておりましたが、現在のコロナ禍をふまえて、高橋さんにはワイナリーからオンラインで実況生中継していただきました。

私と同期のオーストリアワイン大使で、岩手県花巻市大迫にて自家栽培・自家醸造のワイナリー「高橋葡萄園」の当主、高橋喜和さんが仕込んだばかりの渾身のワインと共に、高橋さんが同じテロワールで育てられたお米を使ったシャリを用いた江戸前寿司とともにそのペアリングもお楽しみいただきました。

自家栽培・自家醸造で造る、高橋さんのお人柄を表したような柔らかなワインと江戸前鮓のペアリングを楽しんで頂きました。

昨日は下記のワインをお出しいたしました。

写真左より、

- 高橋葡萄園 ミュラートゥルガウ 2019

- 高橋葡萄園 リースリング・リオン 2019

- 高橋葡萄園 大迫ロゼ 2019

- 高橋葡萄園 ツヴァイゲルト 2019

- 高橋葡萄園 ミュラートゥルガウ トラウベンサフト(ぶどうジュース)

高橋さんが醸造所 兼 事務所 兼 販売所からオンラインで出てくださり、写真や動画も駆使しながら、ぶどう畑の様子、醸造の過程などを熱心にご説明くださいました。

醸造は一人で行っているということで、私も以前訪問させて頂いたときに非常にコンパクトに、かつ、機能的にまとまっている醸造所だという印象を受けました。

お一人で選果、除梗破砕、プレス、発酵、ピジャージュ、などなど醸造の過程をこなされていて、その一つ一つを丁寧にかつ、正確にこなされている様子がよくわかりました。

ワインの品質は畑で造られると、留学されたオーストリアのクロスターノイブルク醸造学校の醸造学の先生がおっしゃったことを最も大切にされて、いかに良いぶどうを作るかということに精を傾けているとのお話でした。

そのような高橋さんが造られるワインはいずれも、風味がぶどうの味わいを素直に表し、かつ、ボディもしっかりしていて、余韻にうま味が残るものです。

和食の味を受け止めて広げるような優しいワインとなっていました。

ミュラートゥルガウは、フィルターをかけないということで若干の濁りがあり、うま味ものっていて、かつ、柔らかな酸と優しい果実味が写真の秋の前菜3点盛りと素晴らしいペアリングとなっていました。

さらに、リースリング・リオンは親のリースリングと甲州三尺の良さを併せ持ち、綺麗で高い酸、そして、甲州三尺から受け継いだと思われる若干の苦みがアクセントとなり、白身に塩と柑橘などを絞ったものと頂くと、より引き立てるワインになるものと感じました。

皆様から一番人気があったのが大迫(おおはさま)ロゼです。高橋さんのご友人が育てたキャンベル種を用いて仕込んだこのワインは、香りにある苺のような甘い赤系果実のニュアンスとは裏腹に、味はしっかりとしたドライタイプで、甘海老の昆布じめの味わいを広げていました。

そして、ツヴァイゲルト。まだ正式なラベルが間に合わなかったということで仮ラベルを貼っていただいていることからもわかるように、造りたてで非常にフレッシュな味でした。

ツヴァイゲルト博士が1920年代に開発したこの品種は、どちらもオーストリアの固有品種である「ブラウフレンキッシュ」と「ザンクト・ラウレント」を交配した品種です。

ザンクト・ラウレントの親の片方がピノ・ノワールで果皮も薄いエレガントな品種であり、また、ブラウフレンキッシュも同じく果皮の薄い品種であることから、高橋さん曰く、ツヴァイゲルトは繊細な品種であるとのことでした。

ちょっと前まではツヴァイゲルトは土っぽいニュアンスがあって、あか抜けない品種だと言われていましたが、よくよく考えると、高橋さんのおっしゃることは確かにごもっともと思いました。

ゆえに、ルモンタージュのようなポンプで強制的に抽出をするようにはせず、ピジャージュで手作業で優しく櫂入れしてタンニンの抽出を強くしない方がツヴァイゲルトらしく仕上がるとのことでした。

お出しした江戸前鮓のシャリには高橋さんが作られた新米「ひとめぼれ」を使わせて頂きました。

鮓のシャリもぶどうと同じテロワールで育てられたもので、シャリとワインの相性も含めて、江戸前鮓と高橋さんのワインの相性はやはり素晴らしいと感じた次第です。

最後に、ワインではなく、ワイン用に栽培したミュラートゥルガウを使ったぶどうジュースもお出ししました。

これは飲んでみてびっくりしたのは、見た目も味もリンゴジュースのような雰囲気で、何も言われなければリンゴジュースと見まごう味わいでした。

ワイン用のブドウというと渋かったり、酸っぱかったりするのではというイメージですが、完熟し、甘みが非常に高く、かつ、酸味もあるので飲み飽きないぶどうジュースでした。

今年はコロナ禍でオンラインで高橋さんに出演頂きましたが、来年はコロナも収まり、また当店にご来店いただき、この会を実施したいと考えております。

銀座壮石

「銀座壮石」は、江戸前鮓、会席料理とそれに合わせたオーストリアワインを、凛とした雰囲気と下町の温かさを融合したおもてなしのもとで召し上がっていただけるお店です。