少し時間が開きましたが、毎度好評を頂いております
「鮓とワインの『い・ろ・は』」(通称:土曜ランチワイン会)の
1~3月の様子をお伝えしたいと思います。
本年最初の1月14日は「ドイツ フランケン その知られざる魅力」と題して、
ドイツを代表する素晴らしいワインを数多く輸入されているインポーター
「ヘレンベルガ―・ホーフ」の宮本駿さんに登場して頂き、ドイツの
フランケン地方を代表する個性的なワインをご紹介頂きました。
「鮓とワインの『い・ろ・は』」(通称:土曜ランチワイン会)の
1~3月の様子をお伝えしたいと思います。
本年最初の1月14日は「ドイツ フランケン その知られざる魅力」と題して、
ドイツを代表する素晴らしいワインを数多く輸入されているインポーター
「ヘレンベルガ―・ホーフ」の宮本駿さんに登場して頂き、ドイツの
フランケン地方を代表する個性的なワインをご紹介頂きました。
フランケン地方はドイツのワイン生産地域のうち、最も東側に位置して
おり、マイン川上流のヴュルツブルク周辺の広い地域です。
畑の大部分はマイン川とその支流の両岸の斜面に集まっています。
ドイツというとシーファー(粘板岩)の土壌を思い起こしますが、
フランケン地方のマイン川の沿岸は石灰岩が主流で、中生代、三畳紀、
ジュラ紀、白亜紀などの石灰岩層が多く見られます。
また、気候も内陸性気候が強く、日較差が激しく、朝と夜の冷え込みと
昼間の暑さの温度差、また、冬と夏の寒暖の差が非常に激しい地域です。
ゆえに味わいもミネラル感がたっぷりあり、酸味もしっかりと乗った、
男性的な味わいが特徴です。
生育しているぶどうも、シルバーナー、バッカスなどの品種で非常に
珍しく、加えて、「ボックスボイテル」という扁平なビンを主に使う
ことも特徴的です。
こういった、フランケンワインのベーシックなところからしっかりと
宮本さんに語って頂きました。
この会でもシルバーナー、バッフス、そして、リースリングを
用意され、飲み比べました。この日出されたワインは下記です。
・Sommeracher Katzenkopf Bacchus feinhelb 2015
・Steinmann Silvaner 2013
・Randersacker Sonnenstuhl Silvaner E.L. 2013
・Riesling pur mineral 2012
この中で個人的に大好きなのは
Randersacker Sonnenstuhl Silvaner E.L.
です。
いつ飲んでも硬質なしっかりとした骨太のミネラル感が唯一無二。
ピュアで透明感と澄んだ味わいのあるこのワインはいくら飲んでも
飲み飽きません。鮓とのマリアージュでも、淡白な白身に塩と酢橘、
また、ミネラル感とうまみのある貝類との相性が抜群でした。
フランケンの骨太ながっしりとした味わいにご参加頂いた
皆様も新たな発見をして頂けた会となりました。
2月25日の会は「自然派ワイン先進国 オーストリアの今」と題して、
私がオーストリアの自然派ワインをご紹介しました。
ビオロジック、ビオディナミ、自然派ワインの意味合い、
オーストリアのビオの先進度といったことのご説明、
また、オーストリアは、
・ワイン生産における100%がオーガニックとビオディナミ
・73%が統合農法(サスティナブル農法)
・全農耕地のうち、オーガニック農耕地が約20%あり、
そのうち約6%が ビオディナミ農法
といった具合にビオの先進国であることをご紹介しました。
そのうえで、4種のワインを飲み比べて頂きました。
お出ししたワインは下記です。
・MORIC Haus Marke Red 2015
・MORIC Super Natural 2015
・Heinrich Frigh Height 2015
・Pittnauer Rose Dogma 2015
MORIC、Heinrich、Pittauerと素晴らしい造り手の特別なワインが
日本へと少量だけ輸入されたこの機会に味わって頂くことができました。
いずれも自然な造りをしているワインでぶどう栽培から人為的な
ことは行わず、品種、土壌、気候、天候、畑の向きといった
栽培環境の味わいをそのまま表現したワインとなっています。
ブラウフレンキッシュ、ツヴァイゲルト、ピノ・ノワールをブレンド
したMORIC Haus Marke Redは、優しい赤いベリー系の風味に、産地の
ミッテルブルゲンラントの中でも石灰岩の多い畑による、口に広がる
ミネラル感、そして、柔らかなタンニンが印象的。また、白ワインの
Super Naturalはノイジードラーゼー・ヒューゲルラントで栽培した
グリューナー・ヴェルトリーナーをメインにし、ニーダーエステ
ライヒ州で栽培しているグリューナーとは異なり、芳醇なミネラル感
と後味に残る塩味とうま味の様な成分の素晴らしさ。Heinrichは
ヴェルシュリースリングを澱引きせず澱も含めて瓶詰めしたという
うま味が凝縮したワイン。そして、Pittanuerのロゼはゴルスの丘で
収穫されたブラウフレンキッシュとザンクト・ラウレントで天然酵母
による自発発酵で、亜硫酸無添加で、何もたさない何もひかない
というコンセプトの自然で、余韻の長い素晴らしいワインでした。
Haus Marke Redと大トロの葱間串、Super Naturalと子持やり烏賊と
竹の子の炊合せ、さらに、鮓の盛り合わせでは、炙った北寄貝、
大穴子の白焼きとHeinrich、そして、甘海老のヅケ、鰤のヅケなどと
Pittnauerが良い相性を見せていました。
食材の旬、産地の味わい、旨味を大切にする和食やにぎり鮓と、
自然派オーストリアワインとの相性の良さを感じて頂けた会に
なったかと思います。
そして、3月18日には、オーストリアワイン大使の皮をかぶった
ポルトガルワインの専門家である、「カーヴ・ド・リラックス」
の別府岳則さんに「ポルトガル最新事情と、和食のマリアージュ」
ということで、2月に訪問されたばかりのポルトガルの最新事情を
踏まえながら開催して頂きました。
お出ししたワインは下記の4種類でした。
・Quinta da Calçada Portal da Calçada Reserva 2015
・Niepoort Teppo Peixe 2015
・Soalheiro Primeira Vinhas 2015
・Quinta de Santiago Alvarinho Reserva 2015
着実に日本での輸入量が増加しているポルトガルワイン。
それはやはり地場品種を大切にしつつ、テロワールを大切にした
造りを重視していること。また、最近の若手の造り手がその産地
とぶどう品種の持つ潜在的な能力を最大限に引き出そうとする
努力にあるのだと感じられました。オーストリアでもこの点は
共通するところではあるのですが、価格がリーズナブルである
という点も見逃せないところだと思われます。
直前の2月にポルトガルでは産地を訪問し、また、各国から招待
された面々と共にポルトガルワインの評価を行うなど貴重な経験
を積まれたその様子を語って下さるとともに、手持ちで現地から
持って帰ってこられたワインも含めて、全てがVinho Verde
(ヴィーニョ・ヴェルデ)産という面白い会になりました。
後半2種はAlvarinho(アルヴァリーニョ)種の飲み比べとなり、
非常に素晴らしい2種のうちでも、参加されたワインの評価会で
どちらが金賞を得たかといったお話も頂きました。
この日は前菜に蛍烏賊の酢味噌和え、筍と山菜の揚げ出し、
にぎり鮓は大トロの炙り、鰯、さごち、平目、甘海老昆布締め、
青柳、槍烏賊をお出ししました。
魚貝類を大量に消費するポルトガルらしく、どのワインとも
とても良い相性を見せていました。また、前半2種のヴィーニョ・
ヴェルデと竹の子と山菜の揚げ出しでは、ワインの持つうま味と
軽い苦みが竹の子や山菜の軽い渋味とよくマッチしていたように
感じました。
また、4月にはヴィーニョ・ヴェルデ・ヤング・プロジェクツ
という、Vinho Verdeにおける自らのルーツを辿り、祖先が
昔造っていたようなワインにインスパイアを受けながら
自分自身のワインを造る生産者の集まりで、Vinho Verdeの
それぞれのサブ・リージョンから、テロワールに根ざした
ワインを造りを行い、2015年から4社で共にプロモーションを
行っているメンバーが来日することが紹介されました。
その一環で彼らに当店にお越しいただき、4月12日の夜に
「ヴィーニョ・ヴェルデ ヤングPjと江戸前鮓の会」
と題して、江戸前鮓と会席料理に彼らのヴィーニョ・ヴェルデを
合せる会を行う運びとなりました。
*)現在(4/9現在)満席でキャンセル待ちとなっております。
http://www.nishitani-sushi.com/winetour.html
以上のように、1~3月はドイツ、オーストリア、ポルトガルと
それぞれの専門家と共にワイン会を行ってまいりました。
4月以降の日程とテーマは下記のようになっております。
http://www.nishitani-sushi.com/winelunch.html
◆ 4月22日(土)
第66回 「地場品種GVを通して見る、オーストリアの産地」
【解説:岡田壮右】
オーストリアを代表する白ぶどう品種のグリューナー・
ヴェルトリーナー(GV)。この品種をオーストリアの産地ごと
に飲み比べて、それぞれの風味の個性を通じて、産地を比較します。
◆ 5月20日(土)
第67回 「ジョージアワインと江戸前鮓のマリアージュ」
【解説:上野久美(ワインキュレーション株式会社)】
8000年のワインの歴史を引き継ぐジョージア。今注目の
ジョージアワインについて、地場品種、醸造方法、産地など
の情報も加えながら、ジョージアワインを俯瞰しつつ、
江戸前鮓とのマリアージュを行います。
◆ 6月17日(土)
第68回 「オーストリアワインの薫り ~梅子黄~」
【解説:宇野佑衣(株式会社 三越伊勢丹)】
七十二候の梅子黄(うめのみきばむ)に合わせて、この季節
の薫りと触感を感じて頂ける料理と江戸前鮓、そして
オーストリアワインを厳選し、季節とのマリアージュを行います。
オーストリアだけでなく、最近注目のジョージア(旧グルジア)
のワインを取り上げる会なども行ってまいります。
これからも美味しく、楽しい会を行ってまいりますので、
ぜひお気軽にご参加ください。
鮓&ワインおーじ
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