残暑厳しい中、先週土曜日に土曜のランチワイン会を行いました。今月はオーストリア大使館商務部 上席商務官の松本典子さんにお越しいただき、「オーストリアの食文化とワインの歴史」と題して行って頂きました。
ハプスブルク帝国の歴史に触れて頂き、さらに、ローマ時代から続くオーストリアのワイン造りの歴史を振り返り、時代順に下記5つのワインをお出しして解説をして頂きました。
右から1. Grassl Zweigelt Classic 20152. Stift Kloster Neuburg Chardonnay 20173. Schloss Gobelsburg St.Laurent Reserve 20144. Zahel Wiener Heuriger Grinzing Nussberg 20175. Stadlmann Zierfandler Anning 2016松本さんから下記のようなワインのご紹介がありました。1が造られているカルヌントゥムという地方は、ローマ時代に帝国領の首都となった場所でワイン造りが盛んな場所で、「ルービン・カルヌントゥム」を代表として、ツヴァイゲルトを使った赤ワインが有名な土地です。2,3はどちらも修道院のワイン。中世に入ると、教会や特にシトー派の修道院がワイン造りに主導的な役割を果たしていて、当時の建物や所有畑を今に受け継ぐワイナリーは多くあります。そのような中でも2のワインは、ヨーロッパ最古の醸造学校を併設するクロスターノイブルク修道院のワインです。また、3は当店でもよくお出ししておりますシュロス・ゴベルスブルクのワインで、1171年以来カンプタールでワインを生産する、現存するオーストリア最古のワイナリーの一つです。ヴァインフィアテルを本拠地とするシトー派ツヴェッテル修道院の所有のワイナリーですが、現当主のミヒャエル・モースブルッカー氏が60年リースで借りうけて、修道院のワインの造り方を今に伝えるのが自分の役目だと考えています。4,5はオーストリアの食文化という面からのセレクトでした。倹約家だったヨーゼフ2世が外国産ワインの輸入を禁止し、1784年にホイリゲ奨励令を発布。これにより、現在まで続く、「ホイリゲ」文化の誕生しました。このホイリゲワインの代表として、4のツァーヘルの新酒をご紹介しました。*)ホイリゲ奨励令:「ブドウ栽培農家に自家製料理とワインの販売を許可する法令」さらに、テルメンレギオンを代表する5のワインをお出ししました。テルメンレギオンは、特に16-17世紀頃、ハプスブルク家の関係者から珍重された地域で、特に、グンポルツキルヒェン村で造られているグンポルツキルヒナーは特に好まれたワインでした。このようなオーストリアの歴史、ワイン造りの歴史、食文化を交えながら、いつもとは異なる視点でワインを選んで頂き、皆様にご紹介させて頂きました。また、お出ししたお料理は、下記でした。・前菜:無花果の胡麻だれ和え・焼物:鮎の特製田楽味噌焼き・江戸前鮓(6貫):白烏賊、伊佐木、秋刀魚、鰹、煮帆立、煮穴子、大トロ前菜の無花果と濃厚な胡麻だれがカルヌントゥムの清々しい赤とよく合い、また、鮎の田楽焼きとはザンクト・ラウレントは肝も入れ込んだ田楽味噌と、一方、シャルドネは鮎の味わいに寄り添っていました。
そして、鮓には混植混醸(ゲミシュター・サッツ)のツァーヘル、柔らかなうま味と苦味を持ったツィアファンドラーが鮓の味わいを引立てていたようです。多忙な中、今回のナビゲーターを務めて頂いたオーストリア大使館商務部の松本さんにこの場を借りてお礼申し上げます。
来月は私、岡田が下記の会を行いますので、どうぞよろしくお願いいたします。◆ 9月15日(土) 第83回 「オーストリアワインと江戸前鮓のマリアージュ」 秋のネタを使って、江戸前鮓とオーストリアワインのマリアージュを検証します。秋になり魚介類うま味が増し、魚は脂ものってきます。そのような季節に合うワインを皆さんで飲み比べましょう。※ この会は料理は無く、前菜と江戸前鮓のみのご提供となります。 (江戸前鮓の貫数を増やして、数フライトご提供します。)※ 小生のワイン本出版と合わせて本会を実施する予定でしたが、 英訳の都合で出版が10月初旬にずれ込んだため、この時には 見本をもとにご紹介させて頂きます。定員 20名(ご好評につき増席致しました)日時 12:00~14:00会費 7,000円(税込)内容 グラスワイン(4種程度)、前菜、握り鮓、茶碗蒸し、椀物http://www.nishitani-sushi.com/winelunch.html鮓&ワインおーじ
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